研究課題/領域番号 |
03670396
|
研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
吉村 一彦 信州大学, 医学部・附属心脈管病研究施設, 講師 (70174985)
|
研究分担者 |
久保 恵嗣 信州大学, 医学部, 講師 (80143965)
小林 俊夫 信州大学, 医学部・附属病院, 講師 (80020775)
半田 健次郎 信州大学, 医学部, 助教授 (70020724)
|
キーワード | 白血球遊走因子 / ロイコトリエンB_4 / 多核白血球 / 肺微小血管壁透過性 / 水分濾過係数 / 摘出潅流肺 / 肺温乾重量比 / 肺水腫 |
研究概要 |
成人呼吸窮迫症候群は肺微小血管壁透過性亢進に基ずく肺水腫を主体とする病態であるが、この病態に白血球遊走因子の関与が推測されている。ロイコトリエンLTB_4は強力な白血球遊走因子であるが、同時に多核白血球からの水解小体酵素の放出、ブロスタグランディン(PG)の産生、活性酸素の産生などの作用を持っている。 平成3度、LTB_4が潅流液中の多核白血球の存在下に家兎摘出潅流肺の微小血管壁透過性を亢進することを明らかにしたが、平成4年度はその病態生理学的メカニズムを解明する目的で、以下の実験を行った。 家兎肺を摘出潅出し、潅流液中に多核白血球(2-3x10^8個)を投与し、さらにLTB_4(5μg)を投与し、血管透過性を評価し、また潅流液中の好中球エラスターゼと、6-Keto PGF_1αおよびTXB_2を測定した。また、インドメタシンあるいは好中球エラスターゼ拮抗薬を前投与した群についても同様の項目について測定した。 その結果、LTB_4投与により肺微小血管壁透過性は亢進し、潅流液中の好中球エラスターゼ活性も有意に上昇したが、6-Keto PGF_1αおよびTXB_2は上昇しなかった。インドメタシンの前投与はLTB_4による肺微小血管壁透過性亢進を抑制せず、好中球エラスターゼ拮抗薬は肺微小血管壁透過性亢進および潅流液中の好中球エラスターゼ活性を有意に抑制した。 以上より、LTB_4による肺微小血管壁透過性亢進は好中球由来のエラスターゼが関与していることが推測された。
|