肺サルコイドーシスにおいて、血清ACEは活性化マクロファージ、類上皮細胞から産生され、全体としての病変の量を反映しているとされている。しかし、ACEの病態生理学的役割については、十分に解明されていない。私達はすでに、BAL液マクロファージのT細胞に対するアクセサリー機能がangiotensinllによって増強される現象が慢性化した症例で認められることを報告した。この現象は、活性化マクロファージより産生されるACEがangiotensinlを病変部位で11に変換し、これがマクロファージの特異的なレセプターに結合してそのアクセサリー機能を増強するという炎症の自已増幅反応をおこし、T細胞性肺胞炎が維持される可能性を示している。本検討では、臨床症例の検討から、病変持続および炎症反応増幅に関連した因子の検討を行った。結果として;1)病変持続例の臨床的検討から血清ACE値は慢性症例でも発見後時間がたっていない症例でも高値で、持続に関連していないとは言えない。2)肺外病変の存在は、肺病変部位のT細胞増加と関連していた。肺外病変のない症例では、血清ACEとBAL液T細胞の割合とは正の相関を示したが、肺外病変のある場合には、血清ACEが正常化してもT細胞の割合は高値をとる症例が多かった。この所見は経時的に観察しても認められた。3)肺における免疫反応増強という病態に重点をおいて検討すると、angiotensinllのBAL液マクロファージのアクセサリー機能増強は、特異的なレセプターがマクロファージの上にあるのではないかと想定してレセプター結合実験を行った。この結果、37°Cの条件で、特異的結合を示唆する成績が得られた。4)BAL液マクロファージにおけるangiotensinIIreceptorの遺伝子発現をRTーPCR法にて検討し、相当するバンドを得た。
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