わが国の過敏性肺炎の大半を占める夏型過敏性肺炎の発症機構を明らかにする目的で、その原因抗原であるトリコスポロン・クタネウムの菌血清型関連多糖体に対するモノクローナル抗体を用いて抗原の解析を行なった。以下にその成績の概要と今後の問題点を述べる。 1.発症抗原のモノクローナル抗体を用いた精製 Sepharose CL-4Bにて部分精製したトリコスポロン・クタネウムII型抗原をモノクローナル抗体を用いたアフィニティカラムクロマトグラフィにて更に精製し、抗原性に関してほぼ均一な抗原(蛋白15%糖85%)を得た。 2.発症多糖抗原の構造解析 上記の精製抗原についてその多糖部分の解析を行なったところ、構成糖はキシロース、マンノース、グルクロン酸で、1→3結合のマンノースを主鎖とし、マンノース、キシロース、グルクロン酸が側鎖として1→2または1→4結合で結合していることがわかった。分子量は800KDであった。 3.現在の問題点 精製多糖抗原のおおまかな構造は明らかになったが、そのどの部分が発症に関連した抗原決定基であるのかはまだ明らかになっていない。患者血清中の抗体との結合性や精製抗原感作後のマウス縦隔リンパ節細胞の幼若化活性などを用いて抗原決定基を明らかにして行きたい。
|