研究概要 |
I.T.cutaneumの菌血清型関連抗原に対する単クローン抗体の作成と精製抗原の化学構造 T.cutaneumの菌血清型IIに特異的に反応する単クローン抗体D-8(IgG1,k)を作成し、これにSepharose4Bにて部分精製した菌血清型関連粗抗原を結合させた。これを診断用ELISAキツトとして、患者血清中および気管支肺胞洗浄液中の抗T.cutaneum抗体を測定した。その結果、夏型過敏性肺炎患者の全てにおいて陽性の所見がえられたことから、夏型過敏性肺炎の原因抗原はT.cutaneumといえる。 また、発症抗原は、ゲル濾過、メチル化、スミス分解等によって、分子量約80万の酸性多糖体、glucuronoxylomannanであり、更に、この多糖体の抗原決定基には、側鎖末端に存在するグルクロン酸が重要であることがわかった。 II.マウスを用いた夏型過敏性肺炎のモデル マウスを用いた実験モデルのBAL液中のTリ球はCD8よりもCD4が優位であり、このCD4を抗CD4抗体を用いて除去すると病変の形成は抑制されたが、抗CD8抗体では変化は認めなかった。したがって、本実験モデルではCD4が病変形成に主要な役割も果たしていることが明らかとなった。 III.今後の検討課題 今回の研究で精製抗原の精製とその構造が決定できたので、今後この抗原ならびに、免疫複合体を用いて気管支肺胞洗浄液中のTリンパ球の反応性を検討する。
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