研究概要 |
本年度はILー5cDNAプロ-ブを用い、喘息患者気管支粘膜内にILー5mRNAが発現しているかどうかをin situ hybridization(ISH)法で検討した。ISH用の標識cDNAは、ILー5cDNAが組み込まれたpUC18plasmidを大腸菌Hb101内に入れて増幅し、plasmidDNAよりILー5cDNAを単離、それをジゴキシグニンで酵素標識して得た。ISH用の気管支粘膜性検組織の固定法として、(1)中性ホルマリン固定、(2)瞬間的凍結固定、(3)マイクロ液固定の3者を比較したが、組織の保存性、メッセッ-ジの保存性より総合的に判断して、(2)の方法が優れていた。ジゴキシグニン標識cDNAプロ-ブおよびISH反応の特異性チェックは、ILー5を産生するT細胞株(ATL Virusーtransformed T cell line)を用いて行った。即ち、本細胞のサイトスピン標本とILー5cDNAプロ-ブのLSHにより、明らかな陽性シグナルが見られたが、標本をRNaseで前処理した場合、あるいはヒトアルブミンcDNAプロ-ブをhybridizeさせた場合には陽性シグナルは検出されなかった。また、正常T細胞サイトスピン標本とILー5cDNAプロ-ブのISHでも陽性シグナルは検出されなかった。そこで喘息患者気管支粘膜組織におけるILー5mRNAの発現を調べてみると、6例中5例の患者の生検標本で、上皮基質膜下の粘膜固有層にmRNAの発現が認められた。正常人の気管支粘膜組織では認められなかった。また、近接切片を核DD3,CD4抗体で免疫染色して、ILー5mRNA発現との関係をみてみると、CD4陽性細胞が多い組織ほどメッセ-ジ量も多く、間接的な所見ではあるが、ILー5mRNA発現細胞はCD4陽性T細胞である可能性が示された。次年度は検索あるサイトカインmRNAを、ILー2,ー3,ー4,ー6,GMーCSF,IFNーγなどに拡大し、検討する予定である。
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