研究分担者 |
平塚 知子 東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究員
柱 秀樹 東京都老人総合研究所, 免疫病理部門, 研究員
神野 悟 東京都老人総合研究所, 臨床生化学部, 研究員
水内 知子 東京都老人総合研究所, 臨床病理部, 研究員
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研究概要 |
抗癌剤ブレオマイシン(BLMと略)による肺障害は,反復投与により生ずる。本研究ではマウスにBLMを反復投与し肺に生ずる変化をDNA合成および細胞構成の変化の見地から検討した。ICRマウスにBLM(10mg/kg)を生食に溶解し10日間皮下投与した。対照群は同量の生食のみを投与。投与後,経時的に肺を摘出し,以下の変化を検討した。1)湿肺重量,2)組織学的変化,3)BAL液中の総細胞数,細胞分画,4)抗Brdu法による免疫組織化学,5)肺組織中のDNA polymerase(DNAーpol)活性,6)肺組織のDNA合成,7)DNA,RNA量,8)DNApol亜分画の測定。湿肺重量は投与終了後3後5日目に対照群の1.36倍に増加。BAL中の総細胞数は,14日目で最大,以後低下。組織学的変化はBAL細胞の変化に一致,14日目で炎症細胞浸潤は最高となり28日目には線維化を生じた。抗Brdu法による陽性細胞は5日目より14日目まで増加した。DNApol活性は5日目で最大となり,14日目まで不変,以後低下。DNA合成,DNA含量の変化はDNApol活性に一致した。この間,5日目にDNApolβの活性増加および10日目に同αの出現がみられた。BLMの反復投与による肺の線維化は以下の如く進展すると考えられた。肺を構成する細胞にDNA傷害が生ずる。これに対応してDNA修復の元進(DNApolβの活性増加),DNA複製(DNApolαの出現およびDNA含量の増加)の元進がみられた。また抗Brduにより染色されるS期細胞の増加とDNA合成の元進に相関性がみられた。
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