研究概要 |
脊髄後索の1次知覚ニュ-ロンに病変の主座を持つ疾患がある.また,軸索変性の発症のメカニズムに軸索輸送の異常の関与が示唆されている.そこて,これまで検討されていなかった後索内の上行性ニュ-ロンにおける速性軸索輸送の動態をラットを用いて検討した.35Sーmethionineを麻酔下でラットの後根神経節に微量注入し,一定時間後,ラットを灌流固定し,脊髄,坐骨神経を摘出した.5mm長のセグメントに細断し組織溶解剤で処理後,各セグメントの放射活性を測定し,輸送された標識タンパクの波動を検出した.輸送速度は中枢側(後根・脊髄)では15.48mm/hour,未梢側では20.29mm/hourと,中枢側でやや速い傾向を示したが,有意な差ではなかった.脊髄内のニュ-ロン軸索の軸索輸送の動態に関してはれまでに報告はなく,本研究によって開発した方法により,その動態の解析が可能であることから今後,実験モデルへの応用が可能であると思われる.
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