研究概要 |
正常人を対象にH反射および運動単位を記録し、運動単位を用いた新しい方法論の確立をめざした。実験遂行の為のコンピュ-タプログラムは完成し、正常成人13名について運動単位を用いて検索した。H反射を導出して、その中に含まれる運動単位を単極微小針電極を用いて記録した。運動単位の発火確率が50%になるように、試験刺激の強さをコンピュ-タによって自動的に調節し、条件刺激をこれに先行して与えて試験刺激強度の変化によって条件刺激効果を判定した。運動単位の種類は発火確率50%となる刺激でのH反射の大きさ(critical firing level,CFL)によって決定した。運動単位を用いた方法で得られた結果をH反射での結果を比較検討すると、効果のみられた運動単位についてはH反射の結果と極めてよく相関した。運動単位によっては全く効果のみられなかったものもあり、未梢神経から神経経合が運動単位によって異なっていることが明らかにされた。本方法の感度についてはH反射を用いた実験とほぼ同等であった。以上より個々の運動細胞に対する神経結合を検索する新しい方法がほぼ確立されつつある。 今後技術的には、運動単位の記録に用いる記録電極の一層の工夫が必要であり、現在の微小針電極では検索対象となる運動単位が低閾値のものに限られてしまう。運動細胞の種類の違いによる神経結合の相違を検討することは、運動制御機構を解明するために重要であるが、そのためにはより高閾値の運動単位の検索が必要となる。
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