研究概要 |
本年(平成4年)度は研究計画1.-3.について研究を行った. 1.本症患者の疫学調査: 本年度新たに見出された症例は12家系14症例で,地域的には東京都で5家系5例,秋田県2家系2例,大分県2家系2例,その他3家系,併せて12家系14例であった.前年度えられた成績を併せると北海道,沖縄を除いてわが国のすべての地域にみられる.本年度の症例では,男女比は1:0.93,発症年齢は9歳〜36歳,平均21.6歳であった.遺伝的数値では,分離比は0.24,浸透率は0.8と計算された,これらの数値は昨年度えられた成績とほぼ同じである.上記症例の中に新しく脂肪肝合併のある例があり本症の特異な所見の一つとして報告されている. 2.原因遺伝子の染色体上の局在部位: 前年度は第16染色体の長腕に異常のある家系(IR)例を発見したが,本年度は同じ家系内のもう一名(祖父)に同じ染色体異常が確認された.最近,別の家系(Ay)で発端者とその母に第9染色体の異常,inv(9p^+q^-),が発見された.これらの異常は正常者にもみられるものであるが,本疾患との関連も否定できないと考えられる. 3.遺伝子分析: 本年度は昨年見出された家系(IT)の第15染色体長腕上の動原体に近い部分の1.2Kbのprobe(pHuR195)を用いてSouthern blotにより患者の白血球DNAの欠失あるいは重複の有無を検索した.この検索では現時点で欠失などの異常所見は見出されていない.もう一方の家系(Ay)例の染色体異常については最近発見されたばかりであり、検索に適当なprobeを検討中である.
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