研究概要 |
(1)HTLVーIーassociated myelopathy(HAM)患者の剖検脳脊髄より抽出したDNAを用いて、HTLVーIゲノムの標的とする領域(pX,env,pol)をpolymerase chain reaction法により増幅することにより、6例中5例でHTLVーI proviral DNAの存在を証明し得た。この際、中枢神経系への白血病細胞の浸潤の著しいadult Tーcell leukemia(ATL)患者由来の剖検脳を対照として用いることにより、定量的にHTLVーI proviral DNA量を評価し、HAM患者においては、浸潤リンパ球以外の中枢神経細胞がHTLVーI proviral genomeを有する可能性を指摘した。 (2)HAM患者末梢血単核細胞および剖検脳脊髄に少量のHTLVーII proviral DNAが存在することを、polymerase chain reaction法を用いて明らかにした。HTLVーIIのコピ-数は末梢血ではHTLVーIのコピ-数の約1/1000程度に過ぎないが、HTLVーIIはHAM発症のcofactorとして重要な可能性を指摘した。 (3)MS患者の一部で末梢血単核細胞にHTLVーII proviral DNAが存在することを、polymerase chain reaction法を用いて証明した。MSの発症因子の一つとしてHTLVーIIが考えられることを指摘した。 (4)現在MS患者末梢血由来の長期培養リンパ球からHTLVーIIゲノムのクロ-ニングを行っている。
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