研究課題/領域番号 |
03670431
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
甲谷 哲郎 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70205350)
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研究分担者 |
川口 秀明 北海道大学, 医学部附属病院, 助手 (70161297)
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キーワード | 肥大心 / 高血圧 / SHR / 突然死 / 虚血性不整脈 / 肥大の退縮 / 降圧薬 / アンジオテンシン変換酵素阻害薬 |
研究概要 |
本研究では、圧負荷左室肥大ラットおよび高血圧自然発症ラット(SHR)などの肥大心動物モデルに対して、作用機序の異なる各種降圧薬を慢性投与し、その降圧作用あるいは肥大退縮効果が、虚血急性期の致死的不整脈発生の防止になり得るか否か、またその作用機序について検討することを目的として行っている。 ランゲンドルフ還流下でラット摘出心に冠動脈結さつを加えることで急性虚血を負荷し、その時の不整脈発生頻度を観察する方法を用いているが、降圧薬を投与していないSHR群では、正常血圧ラット(WKY)群に比して、明らかに高いVF発生を認めた(WKY群20%に対して、SHR群90%)。ついで、降圧薬としてアンジオテンシン変換酵素阻害薬であるCaptorilおよび末梢血管拡張薬であるHydralazineを使用し、SHRに対して降圧薬治療を行った後の虚血期不整脈頻度を検討した。肥大の完成している12週令より8週間の慢性経口投与の後に血圧は正常レベルとなったが、肥大の退縮の程度はCaptorilで大きく、左室重量・体重比はほぼ正常化したのに対して、Hydralazineでは退縮は少なかった。さらに急性虚血実験で観察した不整脈は、Captoril群では減少し、正常群(WHY群)と差がなくなったのに対して、Hydralazine群では、不整脈出現は防止できなかった。以上より、単なる降圧のみでは虚血期の不整脈は防止できず、降圧に加えて肥大が退縮することが必要であることが示唆された。 ついでそのメカニズムを検討中であり、予備実験でMAP(Monophasic action potential)を測定し心筋活動電位を求めたところ、SHRにおいては虚血に伴うMAPの短縮率が増大していることが明らかとなっており、SHRの虚血期電気的不均一性が易不整脈性の一因であることが推定されているので、肥大退縮の影響を電気生理学的にさらに詳しく検討しているところである。
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