研究課題/領域番号 |
03670435
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
三浦 傳 秋田大学, 医学部, 教授 (10006710)
|
研究分担者 |
阿部 豊彦 秋田大学, 医学部, 助手 (30231963)
小林 政雄 秋田大学, 医学部, 助手 (70178333)
田近 武彦 秋田大学, 医学部, 助手 (80171718)
松岡 一志 秋田大学, 医学部, 講師 (60181707)
斉藤 崇 秋田大学, 医学部, 講師 (90178484)
|
キーワード | Stunned Myocardium / 9schemiaーSensitized Myocardium / myocardial tissue PCO_2 / cardiac metabolism / glycolysis / reperfusion |
研究概要 |
一定時間内の冠閉塞後に再灌流を行なった心筋では心筋壊死がないにもかかわらず、遷延性の心筋機能障害がおこることが知られており、stunned myocardiumとして知られている。著者らはこのような心筋では新たに短時間の虚血を導入した際の虚血性心電図変化が対照時に比し著しく軽減されること、またこの際心筋代謝の指標の一つである心筋組織炭酸ガス分圧、pHの変化も低下することをこれまで明らかとしてきた。今回の検討ではこの再灌流心筋の虚血に対する応答性の変化を代謝応答の面から解析することを試みた。その結果、この虚血に体する応答性の変化の成立には一定時間以上の虚血が必要であることが明らかとなった。すなわち5分以上の長さの虚血後再灌流を行なった心筋では少なくとも約2時間以上にわたって新たな虚血侵襲をうけた際の心筋の反応が心筋機能上のみならず心電学的にも、あるいは代謝変動上からも軽減する現象が持続していることが判明した。著者らはこれをあたかも感作、あるいは脱感作とよばれる現象に類似することから、“Ischemiaーsensitized Myocardium"として概念づけられることを提唱した。この事実は近年話題となっているpreconditionig効果成立の一つの基盤となっているものと考えられる。また、この現象の生化学的基盤を研究する目的で再灌流心筋の組織化学的検索を行ない、虚血時の嫌気性代謝のエネルギ-基質と思われるグリコ-ゲンが再灌流心筋では消失していることを明らかとし、新たな虚血侵襲をうけた際の代謝変動の減弱の一因となっていることをみいだした。さらに現在この解糖系の賦活作用をもつことが知られているdichloroacetateの再灌流心筋への作用について検討中であり、1992年5月に開催されるWorld Congress of the International Society for Heart Research、およびSatellite Symposiumにおいて三浦、木村が発表予定である。
|