研究課題/領域番号 |
03670442
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
大内 尉義 東京大学, 医学部・(病), 講師 (80168864)
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研究分担者 |
秋下 雅弘 東京大学, 医学部・(病), 医員
難波 吉雄 東京大学, 医学部, 助手 (80228113)
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キーワード | カルシトニン遺伝子関連ペプチド / 血管内皮細胞 / 血管平滑筋細胞 / 細胞内カルシウム / サイクリックAMP |
研究概要 |
1.目的:カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP)は強力な血管拡張作用を有する神経ペプチドである。本研究ではCGRPの動脈硬化との関連および細胞内カルシウム(Ca)濃度に対する影響を研究することを目的としている。 2.方法:(1)ブタ大動脈由来培養内皮細胞、ラット大動脈由来平滑筋細胞の[ ^3H]thymidineの取り込みでみたDNA合成、およびMTTの取り込みでみた細胞数におよぼすCGRPの効果を検討した。(2)ラット胸部大動脈のらせん状標本を作製、内膜剥離後にfuraー2を取り込ませ、発生張力と同時に蛍光測定装置を用いて2波長励起による蛍光比(R_<340/380>)を経時的に測定し、平滑筋細胞内Ca濃度([Ca^<++>]i)の指標とし、norepinephrine(NE)前投与下でのCGRP、dibutyryl cyclicAMP(DBcAMP)の張力、[Ca^<++>]iに及ぼす効果を検討した。 3.結果:(1)CGRPは10%血清刺激による培養血管平滑筋細胞のDNA合成および細胞数の増加を抑制、血管内皮細胞のそれらを増加させた。血管平滑筋細胞については上皮成長因子(10ng/ml)刺激下での増殖も同様に抑制した。(2)CGRP投与により濃度依存性に血管平滑筋弛緩反応と同時に[Ca^<++>]iの減少を認めた(10^<-6.5>M;-56%)。この反応はCGRPの受容体拮抗薬であるCGRP(8ー37)により抑制され、また、Phosphodiesterase阻害薬である3ーisobutylーmethylーxanthineにより増強された。また、CGRP前処置にてNEによる血管平滑筋収縮反応および[Ca^<++>]iの増加は有意に抑制された。一方、DBcAMP投与にても血管平滑筋弛緩反応と同時に[Ca^<++>]iの減少を認めた。 4.結論:CGRPは血管内皮細胞の増殖を促進、血管平滑筋細胞の増殖を抑制することより抗動脈硬化的に働く可能性が示された。また、CGRPは血管平滑筋細胞内Ca濃度を減少させることにより、血管弛緩反応を惹起するが、この作用はCGRPによるcAMPの産生によることが示唆された。
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