研究課題/領域番号 |
03670444
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
和泉 徹 新潟大学, 医学部附属病院, 講師 (80143775)
|
研究分担者 |
山添 優 新潟大学, 保健管理センター, 助教授 (70167708)
|
キーワード | 心筋ミオシン / Lewisラット / CD4陽性T細胞 / αβTCR / LーFAーI / FK506 |
研究概要 |
心筋ミオシンを抗原とした実験的心筋炎による自己反応性心筋細胞障害T細胞株の樹立に向けて以下の研究を本年度行った。 1.免疫組織学的検索:Lewisラットをヒト心筋ミオシンで2回感作し、実験的自己免疫性心筋炎を作製した。第21日目にラットを屠殺し、モノクロ-ナル抗体OX42、W3/25、OX8、OX33にて免疫組織学的に検索すると、炎症細胞は織球が70%と多く、次いでCD4陽性T細胞が20%、CD8陽性が数%で、B細胞は稀であった。2.トランスファ-実験: この心筋炎のエフェクタ-を明らかにする目的で、心筋炎ラットから得た免疫グロブリンを濃縮し、また採取リンパ球を未処置でそれぞれ同種健常ラットに大量移注したが心筋炎は発生しなかった。そこで、このリンパ球をレクチンで活性した後3×10^6個移注すると、心筋炎がトランスファ-された。3.T細胞の膜表面特性:心筋炎ラットの心臓から浸潤リンパ球を採取し、αβTCR、CD11A、CD18、CD4、CD8にて二重染色し、フロ-サイトメトリ-にて細胞同定を行った。70%はCD4単独陽性細胞であり、その大部分がαβ型TCR陽性細胞であった。接着因子であるLFAーIはαβ陽性細胞上で増強していた。このT細胞にヒト心筋ミオシンを投与すると、活性化現象を認めた。4.T細胞クロ-ンの規制因子:この自己免疫性心筋炎の規制因子を薬剤の抑制効果にて検討した。その結果、アスピリン、インドメタシン、プレドニソロンでは抑制されず、FK506および15デオキシパ-ガリンによって発症が抑制された。 以上の研究を通じて、この実験的心筋炎における自己反応性心筋細胞障害T細胞の表面抗原の特性、並びにこのT細胞クロ-ンの規制因子が明らかになり、T細胞株の樹立に資する貴重なデ-タが得られた。
|