研究課題/領域番号 |
03670455
|
研究機関 | 香川医科大学 |
研究代表者 |
千田 彰一 香川医科大学, 医学部・附属病院, 助教授 (30145049)
|
研究分担者 |
宇多 弘次 香川医科大学, 副学長 (80107044)
阪本 晴彦 香川医科大学, 医学部, 教授 (60106549)
前田 肇 香川医科大学, 医学部, 助教授 (00075508)
森田 久樹 香川医科大学, 医学部・附属病院, 講師 (70145051)
松尾 裕英 香川医科大学, 医学部, 教授 (90028514)
|
キーワード | 超音波顕微鏡 / 音響的定量評価 / 動脈硬化 / 減衰量 / 内膜音速 / tissue characterization |
研究概要 |
動脈硬化を定量的に評価するためには、従来の病理組織学的方法では病変の病理学的程度や広がりは評価しうるが、壁局所の硬度に関する情報を得ることは困難であった。そこで本研究の目的は、超音波顕微鏡を用いて冠動脈、大動脈などの壁の音響学的特性を計測することにより動脈壁性状や壁硬度を定量的に評価し、動脈硬化進展に関する検討を行うことである。 1.ヒト冠動脈組織特性の定量計測に基づく粥状硬化進展に関する検討:剖検心より得られた冠動脈切片を光学顕微鏡所見に基づいて正常群、前期粥状硬化群、後期粥状硬化群に分類した。超音波Cモ-ド像において粥状硬化病変の最も強い内膜領域に関心領域を設定し、減衰量を計測した。音速計測は、Cモ-ド像を参照してXーZモ-ド法により干渉縞を抽出し、干渉縞ずれ量より算出した。(1)減衰量は、正常群では2.5±0.5dB、前期群では1.7±0.6dB、後期群では5.4±0.8dBであり前期群では他群に比し有意に低値であり、後期群では他群に比し有意に高値であった。(2)内膜音速は、正常群では1757.8±90.4m/s、前期群では1611.9±53.0m/s、後期群では2031.4±145.0m/sであり、前期群では他群に比し有意に低値であり、後期群では他群に比し有意に高値であった。以上より冠動脈内膜硬度は粥状硬化の進展に伴って直線的な増加を示すものではなく、粥状硬化初期の段階では病変部内膜はむしろ軟化し、高度の線維化および石灰化を呈する後期に至って硬度が増加すると考えられた。 2.実験動物を用いた、薬物の粥状硬化進展と弾性特性に及ぼす影響に関する検討:主にWHHLウサギを用いて、高脂血症治療薬投与により動脈硬化の進展を病理組織学的に抑制し得た群と、し得なかった群とで大動脈の種々の部位で内膜音速を計測している。高脂血症治療薬投与方法、試料作成方法など試行錯誤を繰り返している。また、将来的には生の材料を対象とする予定で、固定方法を検討中である。
|