研究課題/領域番号 |
03670460
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
循環器内科学
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
久木山 清貴 熊本大学, 医学部附属病院, 助手 (00225129)
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研究分担者 |
小川 久雄 熊本大学, 医学部附属病院, 講師 (50177135)
泰江 弘文 熊本大学, 医学部附属病院, 教授 (40174502)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | Oxidized LDL / lysophosphatidylcholine / lysolecithin / Endothelial cells / Tntercellular adhesion molecule-1 / Protein Kinase C / Polymorphonuclear Leukocyte |
研究概要 |
多核白血球(PMN)は、心筋の虚血・再潅流時の冠動脈内皮細胞傷害に、大きな役割を有していることが知られている。このような病態でのPMNによる内皮傷害が粥状硬化病変部で、どのように変化するかに関しては不明である。これらを明らかにするため、摘出した正常ブタ冠動脈を、粥状硬化の発生・病態に重要な役割を果たしている変性LDLで前処置した後に、ブタPMNとインキュベーションし、冠動脈内皮細胞の傷害とその機序に関し検討した。変性LDLは、冠動脈内皮へのPMNの接着を有意に増加させ、PMNによる内皮依存性弛緩反応の低下をさらに増強させた。PMNによる内皮依存性弛緩反応の低下の増強作用はPMNの冠動脈内皮への接着の程度と相関した。さらに変性LDLは、冠動脈内皮細胞におけるIntercellularAdhesion Molecule-1(ICAM-1)の発現を増強させた。変性LDLによって生じるPMNに対する内皮細胞の接着能の亢進および内皮依存性弛緩反応低下の増強作用、そして内皮細胞におけるICAM-1の発現亢進作用は、変性LDLと同時にProteinKinase C(PKC)の阻害物質であるスタウロスポリンまたはカルフォスチンCを投与して冠動脈を前処置すると、減弱した。PKCの直接の活性物質であるPhorbol 12-myristate 13-acetate(PMA)で冠動脈を前処置すると、変性LDLと同様の作用を認めた。 以上の結果より、変性LDLは血管内皮細胞のPMNに対する接着を亢進させ、その結果PMNによる内皮傷害を増強させた。変性LDLによる内皮細胞におけるICUM-1の発現が、これらの原因と考えられ、内皮細胞におけるPKCの活性化が、関与していることが示唆された。実際の粥状硬化動脈病変部内皮においてICUM-1の発現が増強していることが報告されている。本研究の結果、この機序として、変性LDLが大きな役割を有していることが推測された。
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