研究概要 |
平成3年度において,心磁界計測の臨床的な有用性,特に致死的な不整脈に関して,その発生源位置を心磁界計測からはどの程度に正確に推定できるかを電気生理学的検査,核磁気共鳴法などを併用して検討した。検討の場所,装置は当初の予定通り,電子技術総合研究所において一次微分型のDCーSQUIDを用いて行われた。対象例は心室頻拍例1例,WPW症候群例2例であった。福島県立医科大学においては,電気生理学的検査において心腔内マッピングにより不整脈発生源の位置確認が行われ,その位置を核磁気共鳴法による画像から解剖学的位置を推定した。心磁界計側からは最小二乗法を用いて発生源を推定した。 その結果、電気生理学的検査より得られた不整脈発生源位置と心磁界計測より得られた位置との差は5mm以内であることが明らかとなり,心磁界計測が不整脈発生源の位置推定に極めて有用であることを明らかにした。今日,薬物低抗性の不整脈に対しcatheter ablationが行われるようになっているが,この際の位置次め,又,外科的治療時においても貴重な情報を提供する可能性を,我々の成果は指援しているものと考えられる。今後も例を重ね,又,実際の治療をも加え更に検討の予定である。
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