研究課題/領域番号 |
03670465
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研究機関 | 慶応義塾大学 |
研究代表者 |
谷 正人 慶應義塾大学, 医学部, 講師 (50163613)
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研究分担者 |
新村 健 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (70206332)
海老原 良典 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (30194020)
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キーワード | Preconditioning / Reperfusion Injury / Ca overload / Myocardial ischemia / Sarwplasmic Peticulum |
研究概要 |
我々は平成3年度にPreconditioning(PC)により再潅流時心機能回復改善が改善されること、この改善が心筋エネルギー代謝回復と相関しないことを示した。本年度はPCの効果がCa^<2+>過負荷の軽減または筋小胞体の機能改善によるものかを検討した。【方法】(1)ラット摘出潅流心で対照群(N群)では10分間潅流、25分間完全虚血作成後^<45>Ca^<2+>を混じた潅流液で30分間再潅流した。5分間の虚血と5分間の再潅流を一対としたPCを完全虚血の前に3回行った(P3群)。(2)30分間再潅流後に心臓の過塩素酸抽出液を作成し、心筋^<45>Ca^<2+>uptakeを測定した。心筋^<45>Ca^<2+>uptake潅流液の^<45>Ca^<2+>放射活性より求め再潅流傷害の指標とした。(3)10分間潅流あるいはPC施行後の25分間虚血開始直前時点および25分間虚血に続く30分間再潅流終了時点の心臓をhomogenizeし、NaN_3とoxalate存在下に^<45>Ca^<2+>を添加して筋小胞体のCa^<2+>uptake率を測定した。Ruthenium Red(RR)またはRyanodine(Ry)625μMを添加して筋小胞体のCa^<2+> release channelを遮断し、同様の測定を行った。【結果】(1)30分間再潅流後の心筋Ca^<2+> uptakeはN群に比しP3群で有意に低値であった(N群;2.8±0.4、P3群;1.3±0.1μmol/g dwt)。(2)25分間虚血開始時点の筋小胞体Ca^<2+> uptake率には薬剤非処置下、RR前処置下、Ry前処置下のいずれも各群間で差がなかった(N群;非処置下:34.4±1.9、RR:28.1±1.9、Ry:48.7±2.1、P3群;非処置下:30.3±3.4、RR:25.9±1.4、Ry:44.3±3.1nmol/分/mg)。30分間の再潅流終了時点では筋小胞体Ca^<2+> uptake率は非処置下、RR前処置下、Ry前処置下のいずれもCa^<2+> uptake率はP3群に比較しN群で大であった(N群;非処置下:45.3±1.9、RR:50.4±1.3、Ry:77.7±8.8、P3群;非処置下:24.3±1.8、RR:22.5±0.6、Ry:36.1±2.2nmol/分/mg)。【総括】PCによる心機能回復改善は心筋Ca^<2+>過負荷の軽減と対応したが、筋小胞体のCa^<2+>調節機能とは解離した。
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