研究概要 |
高圧血や心不全等の循環器疾患では末梢の抵抗血管や組織での代謝に関わる前毛細管での収縮拡張に対する交感神経系の役割が重要にもかかわらずその検討は極めて少ない。一方,交感神経系の血管平滑筋側の情報伝達の受容体にαーadrenoceptor(αR)があり、α1,α2のsubtypeがある。αRのsubtypeの末梢血管部位による分布の違いから抵抗血管はそれより末梢での血管反応の影響を受けin vivoでの検討には問題がある。そこで当該部位のarterioleを無傷に単離しin vitroに検討すれば末梢の影響を受ず、αRのsubtypeの血管への収縮拡張での役割の解明が可能である。そこで高血圧と心不全ratの細動脈を用いmicrocirculationでのα1α2のsubtypeの役割と、また細動脈の内圧を変化させ各病態時のautoregulationへのαーRの関与を検討する目的で、今年度は正常rat(Wister系)における細胞脈の内圧を変化させた時のα1,α2のsubtypeでの反応が異なるかいなかを検討した。対象は10週令rat(体重312g)でcremasterの内径約120,長さ700μmの細動脈を顕微鏡下に単離し先端の外径50μmの2本のpipetteを両端からcannulateし、bath内に取り付けた。細動脈内には65mmHgの圧をかけbath内はpH、温度,02・CO2分圧を内定に維持。倒立顕微鏡からモニタ-上の細動脈径を測定。α1ーblocker(prazosin)かα2ーblocker(rauwolscine)をbathに入れnorepinephrine,にて25%の収縮を作成(α2またはα1ーtone)。ー15,ー30mmHgの血管内圧の減少における血管拡張、+15、+30mmHgの陽圧に対する血管の収縮反応をα1,α2にて比較した。減圧ではα2が有意に拡張するが(ー30mmHgでは24%α1では拡張せず、陽圧でもα2がα1に比し有意に収縮が大であった(+30mmHgでα2は減圧前の83%、α1は92%)。現在心不全、高血圧raでの反応の違いを検討中である。
|