研究課題/領域番号 |
03670470
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
松山 知弘 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (10219529)
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研究分担者 |
鵜山 治 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (00185076)
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キーワード | 虚血負荷応答 / Superoxide Dismutase / in situ hybridization histochemistry / 免疫組織化学 / 砂ネズミ / 海馬 / 遅発性神経細胞壊死 / 酸素ストレス |
研究概要 |
CuZnSOD mRNA及びMnSOD mRNAに対するプロ-ブの特異性はNorthern blottingやsenseプロ-ブ、blocking test等により確認され、本研究施行に際し両プロ-ブを使用することの妥当性が証明された。In situ hybridization histochemistryではCuZnSOD mRNAが海馬CAlー3領域に均等に発現していたが、MnSOD mRNA発現は虚血負荷に対し脆弱性を示すCAlで選択的に乏しく、両SODの細胞内酸化防御機構における機能的役割分担が示唆された。5分間の虚血負荷に伴い、CuZnSOD mRNA、MnSOD mRNAとも一過性の発現亢進が認められた。特に、CAl錐体細胞層ではSuZnSOD mRNA発現亢進の遷延化が観察され、発現刺激因子(活性酸素等)の作用遷延化と選択的脆弱性との関連性が示唆された。一方、CuZnSOD蛋白の海馬神経での免疫染色性は虚血負荷後一過性に低下し、CAl錐体細胞ではmRNA発現亢進にもかかわらず、染色性の一層の低下をきたし、虚血負荷早期(24時間まで)での蛋白合成系の破綻を示す所見が得られた。またこの蛋白レベルとmRNAとの解離程度は細胞の脆弱性の程度とよく相関し、長期遷延化する刺激と蛋白合成能破綻のメカニズムの細胞死における関与が示唆された。 MnSOD mRNAもCuZnSOD mRNAと同様、CAl錐体細胞層でのその発現亢進が認められ、MnSOD蛋白合成との解離も示唆された。しかし虚血負荷3日目以降、CuZnSODは、mRNA、蛋白ともCAl錐体細胞層より減少傾向にあったのに対し、MnSODはCAl錐体細胞層に新たに発現が認められた。これは錐体細胞が脱落壊死に陥った虚血後7日目にも観察され、MnSODがグリア細胞に新たに発現することを示すものである。 以上の結果より神経細胞内在性SODは虚血負荷によりその産生能としてのmRNAレベルは亢進するものの、虚血後の細胞内蛋白合成障害の結果その産生は抑制されることが明かとなった。このことは虚血障害における神経細胞内酸素消去系機能低下の重要性を示す。また神経細胞脱落以前よりグリアにSOD発現を認めたことは、グリア細胞での活性酸素発生が示唆され、遅発性神経細胞障害における細胞間相互応答の重要性を示す結果であると考えられる。
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