1)transform抑制遺伝子、Krev-1転移関連遺伝子 nm23の神経芽腫での発現とその異常の解析 2)神経芽腫における topoisomerase IおよびII 阻害性抗癌剤の効果と N-myc増幅との関連 3)癌遺伝子異常の解析を切除腫瘍で正確かつ迅速におこなうためのfluorescent in situ hybrization法の開発の3つの研究を施行した。1)nm23は転移能と逆相関を示す遺伝子としてクローニングされたものでヒト乳癌や肺癌で転移能と相関があることが報告された。神経芽腫腫瘍36例、培養細胞13株にSouthern 法で解析し、摘出腫瘍1例のみにnm23の増幅が疑われた。この患者末梢血をコントロールとしSout hern blot を行い、BglII切断で 7.6kbシグナル、EcoRIで 4.4kb シグナルが各3倍と増幅がみられ、また異常なバンドが観察された。しかし、RNAの発現量には異常がなかった。 2)topoisomerase I およびII 阻害剤について N-myc 80倍増幅株(TNB9)、10倍増幅株(TS-N-2)、非増幅株(SK-N-AS)に対する抗腫瘍効果を検討した。N-myc増幅は臨床上予後絶対不良であるが、 TNB9は検討した5種の抗腫瘍剤のうち2つが有効であった。これに対し、TS-N-2は抗癌剤高低抗株でトポI阻害剤 CPT-11が唯一著効を示した。CPT-11は3株すべてに有効であった。3)腫瘍組織で遺伝子増幅を直接正確にかつ迅速に観察できる in situ hybridization 法を施行した。2kb という小さいプローブではhybridizeせず、大きな cosmidプロープを使用して成功した。
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