研究課題/領域番号 |
03670478
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
須磨崎 亮 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (40163050)
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研究分担者 |
滝田 齊 筑波大学, 臨床医学系, 教授 (30013957)
柴崎 正修 筑波大学, 臨床医学系, 講師 (30049233)
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キーワード | C型肝炎 / 非A非B型肝炎 / 慢性肝炎 / 血液製剤 / 母児感染 / 唾液 / PCR / 抗体検査法 |
研究概要 |
1.PCR法によるC型肝炎ウイルスRNA(HCVーRNA)の検出法の確立(1)血清からのRNA抽出はHot phenol法あるいはグアニジウムチオシアネイト法を用いた。(2)逆転写反応にはantiーsense primer及びrandom primerの両者を併用した。(3)最も保存度が高い5'末端領域由来のPrimerを用いて、Nested PCRを行った。 2.小児非A非B型慢性肝炎におけるC型肝炎の頻度(1)非A非B慢性肝炎児35例の血清を用いて、C100ー3抗体(C100)、p22抗体(p22)の測定及びPCR法によるHCVーRNAの検出を行い、11例がC型肝炎と診断された。現行のV100ー3抗体検査についてはC型肝炎11例中4例で陰性、かつ3例の偽陽性がみられた。PCR法は全例で、p22は11例中10例で陽性であった。以上より小児C型肝炎の診断において、PCRによるHCVーRNAの検出及びp22抗体検査は、C100ー3抗体検査より感度及び特異度が高かった。(2)感染経路については、小児C型肝炎11例中、10例は血液製剤の投与歴を有し、1例は母親もC型慢性肝炎であったことから、母児感染と推測された。 3.母児感染の頻度とその感染経路の検討(1)C型肝炎の母親4例とその児9例についてC型肝炎ウイルスマ-カ-の検索を行ったところ、9例の児のうち1例の血清中にC100、p22及びHCVーRNAが持続的に検出され、他に明かな感染の機会がなく、母児感染と考えられた。出生時から検査し得た4例の児はいずれも生後6ー12カ月までC100ー3抗体が検出されたが、同検体中にHCVーRNAは検出されず、移行抗体と思われた。残りの4例ではすべてのマ-カ-が陰性であった。C型肝炎は頻度は高くないものの母児感染しうると考えられた。(2)感染経路の解明のためにPCR法を用いて臍帯血、C型肝炎の母の母乳や唾液中のHCVーRNA検出を試みた。臍帯血、母乳は陰性であったが、一部の症例の唾液中にHCVーRNAが検出され、水平感染の可能性が示唆された。母児感染については今後さらに症例を集め検討する。
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