研究概要 |
蛋白質レベルの診断には,活性酸素産生系構成要素に対するモノクロ-ナル抗体や部位特異的な抗体を作成し,採取絨毛を試料として免疫組織化学的に行なった.DNA診断はシトクロムb大サブユニットに特異的なプロ-ブを用いて行なった.さらにその部位特異的なプロ-ブを作成し,診断の精度を高めた. 成果:1.絨毛採取試料を系統的に調べ,妊振7週令で淡くシトクロム大サブユニットが再現性良く検出できた.2.出生前の慢性肉芽腫症胎児試料を入手できなかったため,出生時の胎盤を用いて,調べた例は,幸い正常であった.3.DNA診断は,大サブユニットのcDNAの5'末端に特異的なプロ-ブを用いて,一家系で系統的に調べた結果,この部分の欠損が再確認され,恐らくmRNAは作られていないことが解かった.4.慢性肉芽腫症の遺伝子治療の基礎研究としてこの患者のEBーB細胞株を樹立し,これに正常のcDNAをベクタ-に組み込んでトランスフェクトした.何度も組み込みを試みたが,成功していない.世界的にも安定した組み込みの報告例はなく,特別の工夫が必要である.今後の課題である.5.開発したプロ-ブでこの活性酸素産生系の生体での分布や細胞内の局在様式を調べ,腎臓メザンギウム細胞に検出し,細胞模でシトクロムbは膜貫通性にする存在することが明らかとなった.
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