過去15年間にわたり、種々の腎疾患患児の尿蛋白分析、ならびに沈渣赤血球形態についての分析を行ってきた。また腎生検と施行した症例については蛋白尿の分析結果と併せて腎組織像との対比についても検討を行ってきた。 これらの分析結果より、蛋白尿の多寡に拘らず腎組織像の推定がほぼ可能であるという結論に達した。 しかし、小児期の蛋白尿には、いわゆる体位性蛋白尿が高頻度(15%-30%)に存在すめため、これらを除外する採尿条件を考慮する必要があり(例えぱ、患児を安静後30分〜60分後の検体と用いることなど)これらを検討した上での判定が極めて大切であるとの結論に達した。 今後、蛋白尿の分析結果と併せて、血尿の形態の分析(非糸球体性、糸球体性)や、尿検体を用いた非侵襲的方法にて腎組織像の悪化進展や治療への反応性、治癒判定の推定が可能かどうか、さらに検討を行う予定である。
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