研究概要 |
ヒトと同一の分子機構で発症するDuchenne型筋ジストロフィー症(以下DMDと略)モデルマウスをEmbryonic stem cellを用いた相同遺伝子組み換え法によって作成し、発病に至る病態解析を行うことを目的として本研究を進めた。DMD遺伝子はプロモーターが異なる4つのアイソフォームが知られ、そのうち筋型、脳型それぞれのエクソン1領域を標的としてジストロフィン(以下Dyと略)の発現を阻止してDy欠損マウスを作成し、それぞれの機能解析をめざした。 [方法]1.ES細胞のゲノムDNAライブラリーを製作した。2.Dyのエクソン1部分をプローブにしてプロモーターおよびエクソン1を含むゲノムDNAをとった。3.筋型、脳型ターゲッティングベクターの製作はPNS法を採用し neo,DTA遺伝子を使用した。4.筋型、脳型ターゲッティングベクターをES細胞に導入しpositive clone のみをとって細胞を増やした。 [結果]1.筋型は相同組み換え率が低く、相同組み換え体は残念ながらまだとれていない。 2.相同組み換え体がとれた脳型cloneを、レシピエントマウスから採取した胞盤胚に注入し仮親マウスの子宮に戻してキメラマウスを作成中であり、現在、生まれてきて死亡したマウスのDNAの解析を進めている。 [今後の方針]1.positive cloneの見落としを防ぐためジェノミックサザン法でスクリーニングすること。2.筋型、脳型のキメラマウス作成。3.交配用マウスと交配させ目的とした筋型、脳型Dy欠損マウスを獲得する。4.発病に至る病態解析を行う。
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