生後第3週頃の幼若ラットを用いた扁桃核刺激のキンドリングモデルにおいては、成熟ラットに比べて、嗅内野興奮性シナプス伝達の長期増強作用を生じやすく、生後第3週頃の幼若ラットは更にてんかん原性を獲得しやすいことが知られている。しかし、嗅内野で生じる興奮性誘発反応と脳の成熟過程との関係、あるいは、キンドリング刺激中の誘発反応の変化については殆ど知られていない。今年度の研究では、幼若ラットを用い、扁桃核との間に単シナプス連絡のある嗅内野において誘発反応を記録し、日令による変化についてまず検討した。次にキンドリングトレイン刺激による興奮性シナプス伝達の促進現象および刺激直後の短則増強現象について、キンドリング形成過程の1つの指標である脳波上後発射の有無との関連性を検討した。その結果、脳の発達途上期にあるラットにおいて扁桃核刺激で生じた嗅内野の誘発反応で観察された現象より、キンドリング形成過程の興奮性シナプス伝達の変化において、誘発電位の持続時間(半値幅)の増大と後電射の有無で表されたキンドリング現象の形成とが密接な関係があると結論された。
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