研究概要 |
研究目的 肺動脈圧、肺静脈圧、気道内圧、肺サ-ファクタントの有無が肺浮腫の形成にどのように関わりあうのかを調べる。本年度はラット独立心肺循環モデルを作成し肺静脈圧の変化が肺浮腫、および肺コンプライアンスに与える影響をサ-ファクタントの有無によりどのように異なるかを調べた。 研究方法 ウイスタ-ラットをネンブタ-ル麻酔したのち気管内挿管し人工呼吸をしながら心肺を取り出す。肺動脈を4Fr栄養チュ-ブで右心室によりカニュレ-ションし大動脈ともに結紮固定する。同じく左心室より左房に4Fr栄養チュ-ブを挿入し心肺立循環モデルとした。循環液はへパリン化自己血液(4ml)をKrebsーHenseleitで5倍に希釈したものを用いた。気道内圧は5cm水中圧とし、肺静脈圧を0,2,4,8,10,12cm水柱圧と変化させたときの肺重量変化、肺コンプライアンスを調べた。肺コンプライアンスの測定はラット体重1kgあたの40mlの空気を肺をゆっくり膨らませた時の気道内圧より計算した。肺サ-ファクタント欠乏肺モデルとして生理食塩水で肺を洗浄後、静脈圧を変化させたときの肺重量変化、肺コンプライアンス変化を調べた。 結果および考案 正常肺においては肺静脈圧の変化は肺重量、肺コンプライアンスにはほとんど影響は認められなかった。一方肺洗浄後の肺では肺静脈圧の上昇にともない肺重量は著明に増加し肺コンプライアンスは低下した。このことは肺サ-ファクタント欠乏は肺静脈圧上昇による肺浮腫を起こし易くするものと考えられた。肺胞の表面張力の増強は肺胞腔が減少し間質圧の低下をもたらし肺浮腫の増強がくるものと推測した。さらに間質に漏出した血漿成分は肺サ-ファクタントインヒビタ-として働き、さらに憎悪させることも考えられた。また肺サ-ファクタントの存在は肺浮腫の予防に一役かっているものとおもわれた。 今後の研究 今後例数を増し、結論がより確かなものとしたい。また人工肺サ-ファクタント投与により肺胞からの貯留液がより吸収速度が早いことを本実験で確かめて行きたい。気道内圧の変化、動脈圧測定を行い、zone 1,2,3,での変化を調べて行きたい。
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