25名の早期産児と6名の満期産児を対象とし、日齢14日までは2-3日ごとにそれ以後は週1回ずつの頻度で尿中の抗利尿ホルモンを測定した。尿は朝6時-8時ころに採取されたものを使用した。尿中のAVPはRIA二抗体法を用い測定、同一検体より測定したクレアチニンとの比をもってAVP分泌量とした。児のもっている種々の因子を同時に記録し抗利尿ホルモン分泌量との関連を多変量解析を用い分析してみた。 AVP分泌に有意に相関した因子は在胎週数、早朝8時間内に発生した徐脈頻度、尿中ナトリウム濃度、尿浸透圧、体重1Kgあたりの1日尿量、体重1Kgあたり一日水分摂取量、体重の出生体重比などに見られた。在胎週数、体重の出生体重比、一日尿量ははAVPと負の相関が見られた。在胎週数と負の相関が見られた事は、児が未熟であればあるほどAVP分泌が多い事を示唆している。他の因子は正の相関が見られ朝8時間の徐脈頻度が多ければ多いほどAVP分泌が多いことを示して興味深い。人工呼吸器を使用した児のみについて同様に多変量解析をした結果では相関係数が高く有意差のあるものは在胎週数が負の相関が全体の時と同様みられさらにPIP、深夜の徐脈頻度とも相関が見られている。 以上の結果をもとにデキサメサゾン投与が抗利尿ホルモンを介し身体から水分が排泄されている可能性があるものと仮説し以下の実験を行った。長期に呼吸管理されている超未熟児8例を対象とし、換気条件が下げられない時にデキサメサゾン0.5MG/kGを静脈内投与し投与前の血中AVP濃度、尿中AVP濃度を測定した。AVP測定はRIA2抗体法を用い測定した。投与前後の血中および尿中AVP濃度の多くは減少し、投与前の血中AVP濃度の平均±1SDは4.1±4.1であり投与後のそれは2.3±1.3であった。
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