研究課題/領域番号 |
03670512
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研究機関 | 日本大学 |
研究代表者 |
大和田 操 日本大学, 医学部・小児科, 助教授 (40059506)
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研究分担者 |
吉田 泰祥 日本大学, 医学部・小児科, 助手 (60240321)
崎山 武志 日本大学, 医学部・小児科, 講師 (20130510)
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キーワード | フェニルアラニン水酸化反応 / プテリン化合物 / テトラヒドロビオプテリン(BH_4) / BH_4欠乏症 / Fukushima-Nixon法 / 髄液移行 |
研究概要 |
フェニルアラニン(Phe)水酸化酵素の補酵素であるプテリン化合物、テトラヒドロビオプテリン(tetrahydrobiopterin,BH_4)の代謝に関与する酵素の遺伝的な異常症であるBH_4欠乏症における神経症状の発現予防には、BH_4および神経活性アミン前駆体の投与が必要であるが、BH_4投与の効果判定には体液中のBH_4測定が必須である。我々は、本研究補助金によって、これまで困難であった体液中のプテリン化合物の分析を容易に行える方法を開発したが、本年度は更に髄液中のBH_4分析方法を確立し、投与したBH_4が中枢神経系に到達することを明らかにした。 1)髄液BH_4測定系の確立:強酸性イオン交換樹脂カラムを使用し、アンモニアグラジェントによってプテリン化合物を分析する系(昨年度報告した直接法)を、髄液中に微量に存在するBH_4の測定に応用した。即ち、アスコルビン酸4mg/mlを添加し、分析まで-40゚Cに保存した髄液 100μlを、前処理なしに島津LC-4A型高速液体クロマトグラフィーにより分析したところ、BH_4は他のプテリン化合物から明瞭に区別できるピークとして検出された。この方法で、白血病患者10例から採取した20検体の髄液を分析し、BH_4濃度の分布を算定した。 2)BH_4欠乏症患者の治療効果判定についての応用:従来、BH_4の髄液中濃度については、Fukushima-Nixon法によって間接的に計算されたデーターが報告されているのみで、そのような間接的な値をもとにして、外来性に投与されたBH_4の髄液移行についての論議がなされていたが、今回、我々は、BH_4投与を行っている4例のBH_4欠乏症の髄液を直接法で分析し、投与したBH_4が確かに髄液中に移行していることを明らかにした。この知見は臨床的に重要と考える。
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