研究概要 |
仔牛皮膚約5Kgを出発材料として血清成分を除去した後、6M尿素、4Mグアニジンを含む緩衝液にて可溶化する成分を抽出した。共存するコラーゲンをイオン交換クロマトグラフィーにて除き、SDS‐ポリアクリルアミドゲル電気泳動により分子量約4.5万を示す領域をゲルから切り出した。このゲルを粉砕した後、家兎に完全アジュバントと共に免疫した。本抗体は既存の細胞外マトリックス成分と交叉を示さず、分子量約4.5万の蛋白とのみ反応した。免疫組織化学的検索ではコラーゲン周囲、血管内皮細胞に染色された。培養線維芽細胞に於てコラーゲン合成と比べて極めて微量合成されることが判明した。シアンブロマイドにより3本のペプチドが得られ、分子サイズは約1.5‐1.2万を示した。これらのアミノ酸配列はそれぞれN末端より,DINGGAATLPQKLYQT,WLVNDTAVLPGKLYYVGVGFA,SPDFAASTLAGLDDATKV配列を示すことが判明した。本蛋白質のN末端はDINGGAATLPQKLを示すことから、大きなCBペプチドがN末端領域であることか知られた。本蛋白をコードする遺伝子を解析するため上記アミノ酸配列を基に合成オリゴヌクレオシドを作製した。培養線維芽細胞、血管内皮細胞由来cDNAからPCR法により、抗体を用いたクローニングを行ったが、用いたオリゴDNAと反応するcDNAを得ることが出来なかった。これは培養実験結果から本蛋白が通常の培養条件では極めて微量しか合成されていないため、遺伝子クロニングするためにはmRNA量が不十分であった為と思われた。このため現在各サイトカインを培養液に添加し、本蛋白の合成量を測定している。
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