昨年迄の研究に於いて、skin proteasomeは15-20個のsubunitから成る分子量約75万のring-shaped構造をとり、活性にserine残基とcysteine残基が関与していること、Ca^<2+>や脂肪酸により活性化されること、主として表皮に存在すること等を明らかにした。本年度は各種皮膚疾患の病像形成と本酵素との相関を昨年得たpreliminary結果を更に詳細に検討した。即ちヒト肝プロテアソームモノクローナル抗体を用いて、正常皮膚、尋常性乾癬、皮膚悪性腫瘍(有棘細胞癌、ボーエン病、基底細胞上皮腫)におけるプロテアソームの局在を検討した。ヒト正常皮膚では表皮細胞層に均一に存在し、顆粒層〜有棘層では核にも認められた。乾癬では顆粒層〜有棘層下層の細胞質と核に強い陽性所見が認められた。一方、有棘細胞癌やボーエン病のような悪性腫瘍細胞では細胞質には殆ど認められず、核にのみ特異的に認められた。しかし、基底細胞上皮腫では細胞質、核ともに弱い陽性所見が認められた。これらの結果は、表皮細胞の分化の制御機構や悪性化にプロテアソームが関与している可能性を示唆している。
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