研究概要 |
^<99m>Tc(テクネシウム)は核医学の立場からは,最も理想的な放射性同位元素である。しかも同じ方法を用いて,癌の治療に適した ^<186>Re(レニウム)標識に応用できる特微を有する。そこで本研究では ^<99m>Tc標識モノクロ-ナル抗体を画像診断に使用する目的で,抗体の ^<99m>Tc標識方法の基礎検討を行った。 精製した抗体を2ーメルカプトエタノ-ルで還元。骨シンチグラフィ用HMDPキットと ^<99m>Tcパ-テクネテ-トと混和するのみで,簡便に抗体の ^<99m>Tc標識が可能であった。抗体の比放射能は40〜80mCi/mgと高く,ゲルクロマトグラフィ,電気泳動による検討では,ともに90%以上の ^<99m>Tc標識が得られた。大腸癌細胞と反応する抗CEA抗体,卵巣癌細胞,肺癌細胞と反応する抗CA125抗体を用いて, ^<99m>Tc標識による抗体活性への影響を調べたが,癌細胞との結合性を損うことなく,抗体の ^<99m>Tc標識が可能であった。 対照としてクロラミンT法により標識した ^<125>I(ヨ-ド)ー標識抗体,サイクリックDTPAを用いて標識した ^<111>In(インジウム)標識抗体を用いて検討したが, ^<99m>Tc標識抗体とほゞ同等の抗体活性であった。ヒト癌細胞を移植したヌ-ドマウスを用いて, ^<99m>Tc標識モノクロ-ナル抗体の体内分布,腫瘍集積性を見たところ,血中からの代謝が早いため, ^<125>Iー, ^<111>Inー標識抗体よりも高い腫瘍/血液比,腫瘍/正常組織比を示した。 ^<99m>Tc標識モノクロ-ナル抗体の優れた特性より,悪性腫瘍,心筋硬塞,炎症,血栓症などの画像診断への臨床応用が期待される。
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