研究概要 |
癌胎児性抗原CEAに対するモノクローナル抗体(BW431/26)は大腸癌細胞膜に統合する。昨年度に報告した方法を用いてTc-99m標識。本学倫理委員会の許可を得て、Tc-99m標識BW431/26抗体による大腸癌の画像診断を行うとともに、投与した抗体の腫瘍集積性を定案した。 Tc-99m標識抗体(30mci/mg)投与19-24時間後のシンチグラムで14例中13例(92.8%)が陽性係を呈し、肝転移例は2例中1例が強い抗体の集積を示した。手術標本での抗体の腫瘍集積は、SPECT画像より求めた腫瘍1正常組織とほゞ一致し、腫瘍1正常大腸比は14.7,腫瘍1血液比は4.9に達した。放射線感受性の高い、例えば悪性リンパ腫や肺小細胞癌では、放射性同位元素で標識したモノクローナル抗体の大量投与による治療効果、腫瘍細胞障害が期待される。腫瘍集積性である。またSPECT画像より投与したTc-99m標識モノクローナル抗体の体内分布、腫瘍集積性、治療効果が推定されることを示す。 本法は大腸癌のみならず卵巣癌などの他の悪性腫瘍や心筋硬塞、血栓症にも応用することができる。放射線治療に適した放射性同位元素Re-186(レニウム)は、Tc-99mと類似の化学的性質を有しており、同じ標識方法で抗体に標識され、ほゞ同じ腫瘍集積性を示す。 Tc-99m標識モノクローナル抗体を用いる連保診断は癌治療にも応用されるものと期待される。
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