実験的研究ではsnapshot法(turbo flash法)を用いれば、500msec以内にT_1強調画像が得られることがわかった。ただ、空間分解能、SN比コントラスト分解能などがspin echo法ほど高くないために、解剖学的検計には用い難いが、Dynamic MRIなどの高速撮像法を必要とする検査には、用いることが可能とわかった。小動物にDynamic MRIを行うと、賢、下垂体、肝などで血行動態を描出することが可能であった。ただし、時間分解能が悪く、血行の遅い臓器、組織に限られることが判明した。 臨床的研究では、下垂体腫瘍のDynamic MRIでは、正常組織および海綿静脈洞は早期に増強効果を受けるのに反し、微小腺腫の増強効果は遅れることから、通常のSpin echo法で描出困難な微小腺腫が描出できることがわかった。さらに、再発腫瘍は微小腺腫を同様な血行動態を示すが、手術充てん物はさらに血行が遅延することがわかった。 肝癌にDynamic MRIを行うと、小腫瘍の血流をDSA、Dynamic CTなどによりも明瞭に描出することが可能であり、小肝細胞癌の診断上、極めて有用性が高いことがわかった。さらに、子宮頸癌、子宮体癌などについてもDynamic MRIを行ったが、腫瘍の進展範囲がより明瞭に描出され、診断上、極めて有用であった。頭頸部腫瘍でも、血管に富む腫瘍と、そうでない腫瘍の鑑別がDynamic MRIおよびそのサブトラクション像によって、よりよく描出することが可能になった。 以上のことから、Dynamic MRIは現時点では、時間、空間分解能はCTやその他の検査法には劣るが、臓器によってはコントラスト分解能が高いために、腫瘍の進展範囲の描出および鑑別診断の有用性の高いことが証明できた。
|