研究課題/領域番号 |
03670550
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研究機関 | 大阪市立大学 |
研究代表者 |
水口 和夫 大阪市立大学, 医学部, 助教授 (50145794)
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研究分担者 |
高島 澄夫 大阪市立大学, 医学部, 助手 (40187951)
中村 健治 大阪市立大学, 医学部, 講師 (00145781)
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キーワード | 肝細胞癌 / 肝区域硬化術 / 無水エタノ-ル / interventional vrdiology / 経皮経肝門脈造影 |
研究概要 |
麻酔下ラットに2Frカテ-テルを腸間膜静脈未梢から門脈内に挿入後,肝内門脈枝に進め造影を行いエタノ-ル注入門脈枝を決定。その後さらに門脈未梢枝まで進めカテ-テル先端により門脈内腔が完全に閉塞され血液の逆流のない状態にし無水エタノ-ルを手圧にて注入した。なお、透視可能なように無水エタノ-ルに少量の造影剤を混相した。無水エタノ-ル注入後10分間楔入状態で放置し、その後速やかにカテ-テルを門脈本幹内に引き戻し再度造影を行った。実験を一定のエタノ-ル注入条件下で行うためにX線像や透視像など各種の注入条件を作成し、注入部肝表面の肉眼的変化を観察した。その結果、エタノ-ル注入量は注入肝区域が濃染し肝静脈陰影の描出開始と同時に注入を中止するのが過量の無水エタノ-ルが肝静脈に流出せず肝組識壊死をおこす最良の条件であることが判明した。ラット1匹当たりのエタノ-ル注入量は0.07〜0.6mlであった。エタノ-ル注入直後から注入肝区域の表面に白斑が出現し、除々に隔合し均一な白色区域となった。割面でも楔状の均一な黄白色域を示した。2匹は不均一な黄色域が認められた。また術後早期のものに比し術後経過の長いものでは、黄白色域が小さくまたやや白色調を帯びる傾向があった。注入区域の経時的な組織学的変化は注入直後では全例注入区域に肝細胞の萎縮と細胞質の好酸化、類洞の拡張が認められた。注入7日後には疑固壊孔部がさらに広範囲となり、21日後には肝細胞、グリソン鞘内血管壁を含めた注入区域はほぼ全体が凝固壊孔となった。また血液生化学的にはGPT値は注入直後では6匹中3匹、1日後では5匹中4匹、3日後には10匹中3匹に上昇した。BUN値は変動は少なく、クレアチニン値は正常範囲内であった。本治療法は適正なエタノ-ル注入量により安全に肝区域切除に匹敵する高い治療効果が期待できると推定された。
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