研究概要 |
1.画像コントラストの検討 高速スピンエコー法では,T2強調画像において脂肪組織が高信号となる特徴があるが,この現象の臨床面における得失について検討した.一般に中枢神経系領域では,脂肪の高信号が診断に及ぼす影響はほとんどないが,頭蓋底領域の診断においては,造影剤による増強効果を強調する目的で,脂肪抑制法の併用が有用な場合があった.腹部・骨盤領域では,腹腔内脂肪織の高信号が臓器輪郭を強調する利点がある反面,呼吸運動によるアーチファクトの増加につながる場合があった. 2.至適条件の検討 高速スピンエコーによる撮像に際して決定すべきパラメータとしては,繰返し時間(TR),エコー時間(TE),エコー間隔,エコー数などがある.これらの組合せによる至適条件は,診断部位,目的とする病変,希望する空間解像度,T2強調度,検査時間の制約などにより複雑に変化する. 3.従来法との比較 従来法であるスピンエコー,グラジエントエコー法と,臨床面における得失を検討した。高速スピンエコー法は,ほとんどすべての状況下において,従来法よりも鋭敏度にすぐれ,高速スピンエコー法のみで描出され,従来法では診断不可能な疾患,病態も数多く経験された.
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