研究課題/領域番号 |
03670554
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
福田 寛 東北大学, 抗酸菌病研究所, 教授 (30125645)
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研究分担者 |
須原 哲也 放射線医学総合研究所, 臨床研究所, 研究員 (90216490)
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キーワード | 脳神経受容体 / ポジトロンCT / ド-パミン受容体 / ベンゾジアゼピン受容体 / アセチルコリン受容体 / 正常加齢 / うつ病 |
研究概要 |
1)脳内ド-パミンD1受容体に特異的に結合する^<11>CーSCH23390を用いて、健常人ボランテイアにおける脳内の挙動をポジトロンCTにより測定し、コンパ-トメントモデルにより受容体との結合・解離定数(K3・K4)を定量する方法を確立した。次にこの方法を用いて、加齢に伴う受容体結合能の低下を22才から73才の健常被検者で測定した。その結果、線条体における受容体結合能(K3/K4)は加齢とともに指数関数的に低下することを示した。さらに双極性のうつ病患者におけるD1受容体の動態を測定した。検査の対象としたのは、軽度の症状があるかまたは寛解期にあり、複数の精神科医の判定により責任能力ありと判定された患者である。これらの患者および家族の両方からinformed consentを得てから検査を施行した。その結果、うつ病患者においては、線条体よりもむしろ前頭葉皮質の受容体結合能の低下があることが示された。 2)中枢性ベンゾジアゼピン受容体に特異的に結合する^<11>CーRo15ー1788を用いて健常人脳における受容体結合能の定量法を確立した。すなわち、放射性の^<11>CーRo15ー1788に加えて非放射性のRo15ー1788をあらかじめまたは途中で加えた時の脳内および血液中の放射能、比放射能を測定することにより、インビボでKd、Bmaxを測定した。 3)脳内アセチルコリン受容体に特異的に結合する^<11>Cーベンツトロピンの標識合成法を確立した(井戸ら)。臨床研究については、倫理委員会の承認が得られた後、平成4年度に行う予定である。 今後の研究の展開:研究計画に記した「脳の生理機能の解明」を受容体レベルで行うためには、生理的刺激による受容体の結合動態の変化を定量する方法論の開発が不可欠である。困難なこの壁を突破することが鍵となる。また別の方向性として、「受容体レベルの痴呆研究」にどの受容体系が最適かを探る必要がある。
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