研究課題/領域番号 |
03670560
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研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
澁谷 治男 東京医科歯科大学, 医学部, 講師 (10158959)
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研究分担者 |
渡辺 明子 東京医科歯科大学, 医学部, 技官
融 道男 東京医科歯科大学, 医学部, 教授 (20013972)
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キーワード | 精神分裂病 / ハロペリド-ル / CCKmRNA / ラット / CCK免疫活性 |
研究概要 |
精神分裂病死後脳の神経ペプチド免疫活性およびその受容体の測定から前頭葉の眼窩前頭皮質や側頭葉の中・下側頭回皮質、後頭葉皮質の一部でCCKー8免疫活性(CCK8IR)の増加を認めた。またCCKー33免疫活性(CCKー33IR)は眼窩前頭皮質、前運動領野、側頭葉、海馬、扁桃体、梨状葉皮質で低下しており、分裂病ではCCK作動系ニュ-ロンに異常があることを既に報告した。また分裂病治療薬ハロベリド-ルの2週間慢性投与がラット大脳辺縁領域、線条体、前頭葉のCCKー8IRを減少させ、オ-トラジオグラフィ-法を用いてCCK受容体のBmaxを増加させることも報告した。以上の所見はCCK作動系が分裂病因に関与している可能性を示唆するものであるが本研究はハロペリド-ル投与時のCCKmRNAレベルへの影響を調べた。ハロペリド-ル1mg/kgをラットに腹腔内投与して、60分および120分後に断頭し脳を速やかに前頭前野皮質、海馬、後頭葉皮質に分け凍結。その後Chomeynskiらの方法に従いRNAを抽出。Nocthern Slot法により脳三部位から抽出した総RNAをCCKcDNAでハイブリダイゼ-ションした結果CCKmRNAに担当する単一バンドを検出できたので、CCKmRNAの定量はスロットブロット法を用いた。即ち総RNAをminifoldsを用いて直接ナイロン膜に移し ^<32>PCCKcDNAでハイブリダイゼ-ションした後、放射能活性をフィルムに露光しデンシトメ-タ-で定量した。ハロペリド-ル投与1時間後海馬、後頭葉のCCKmRNAは有意に増加し、前頭前野皮質でも増加傾向を認めた。投与3時間後には対照群と差異がなくなっていた。ハロペリド-ルを投与して2時間後には前頭葉皮質、海馬のCCKー8IRおよびCCKー33IRに変化はないが(既報)、上記所見はハロペリド-ル投与直後の比較的短時間に限りCCK生合成が促進することを示している。分裂病治療に抗精神病薬の持続的な投与が必要なことを考えると、ハロペリド-ル慢性投与時の脳内CCKmRNAへの影響を検索する必要がある。
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