研究概要 |
ラミニンのA鎖Gドメインの近くにあるPA22ー2の重要配列であるIKVAVに類似配列を持つ種々のペプチドを合成し、細胞接着・神経突起伸展・ヘパリン結合・細胞成長作用を調べた結果、ラミニンのIKVAVとは全く離れたクロス部分にも細胞接着・神経突起伸展・ヘパリン結合活性を持つペプチドLMAー5(CYFQRYLI)を発見した。また、中枢神経細胞との関係が注目されるVIP(Vasoactive Intestinal Polypeptide)の配列であるVKKYLNには活性がなく、神経終末末端に見つかったSーラミニンのTIKLLNの配列には神経突起伸展活性が存在することを同定した。さらに、合成ペプチドのモノマ-・ダイマ-の活性に対する形態特性とシスチンの活性に及ぼす影響を調べたら、シスチンには培養皿へのコ-ティング効果を上昇させ、ダイマ-を形成させること、ダイマ-のほうが神経突起伸展活性が強いこと、細胞接着と神経突起伸展活性にはペプチド構造により活性の差があることなどから、これらの活性は異なるレセプタ-を介している可能性が出てきた。また、ヘパリン結合活性はより細胞接着活性と関連していることを同定した。最近ペプチドPA22ー2は癌細胞転移を促進し、コラ-ゲナ-ゼIVの産生を増加させることが報告され(Kanemoto et al.,1991)、神経突起伸展活性から神経発達・再生治療薬を開発していくには、癌細胞転移作用のないペプチド構造を同定する必要性が出てきた。そのため、現在IKVAVの修飾ペプチドを合成し、生物活性を検索中である。
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