研究課題/領域番号 |
03670568
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
精神神経科学
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
高畑 直彦 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20000987)
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研究分担者 |
藤井 充 札幌医科大学, 医学部, 講師 (80199299)
深津 亮 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (10113614)
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研究期間 (年度) |
1991 – 1992
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キーワード | アルツハイマー病 / モノクロナール抗体 / アミロイド前駆体蛋白 / ライソゾーム系輸送経路 / アミロイドβ蛋白 / 培養細胞 / ロイペプチン / endosomal / lysosomal pathway |
研究概要 |
アルツハイマー病は脳のAβ沈着症ととらえることが出来ることから、APPが細胞のどこで、どの様な機構によって分解・処理を受けてAβが生成されるのかについてモノクロナール抗体を用いて以下の通り検討した。また、リソソーム蛋白分解酵素の阻害剤であるロイペプチンを培養液に加えてAPPの分解・処理過程に対する影響を検討した。 I)APPの各ドメイン、Aβに対するモノクロナール抗体の樹立:APPはN-末端からシグナルペプチド、インヒビタードメイン、細胞外ドメイン、Aβ、細胞内ドメインの順に配列されている。これらの各ドメインのペプチドを合成しマウスを免疫してモノクロナール抗体の作製を試みた。N-末端、細胞外ドメイン、Aβ、細胞内ドメインに対するモノクロナール抗体の樹立に成功した。インヒビタードメインに対するモノクロナール抗体は樹立出来なかった。 II)APPの細胞内での分解・処理過程の検討:1)ヒト血球由来細胞株を培養してホモジナイズして細胞分画を行なった。Western blottingによって各分画に含まれるAPP断片にはamyloidogenic,non-amyloidogenicな断片が多数認められた。このうち、これまでに報告されていない完全長のAβを含む50kDaのAPP断片がミトコンドリア画分、可溶性画分に見出された。2)リソソーム蛋白分解酵素阻害剤(ロイペプチン)を培養液に添加して前述の細胞を培養し同じ様に分画すると、完全長のAβを含む50kDaのAPP断片はミトコンドリア画分、可溶性画分でより明瞭となつた。さらに詳しく分画しリソソーム酵素の活性と比較すると、この50kDaのAPP断片は酵素活性のピークと一致して認められた。 以上の結果はリソソーム経路がAPPの分解過程に関与しAβの生成に重要な役割を演じていることを示唆するものと考えられる。
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