研究概要 |
神経芽種(NB)44例、非NB群(C群)48例の計92例について血漿NPY濃度を測定した。NBの診断に関する血漿NPY濃度の感受性は84%、特異性は92%であった。血漿NPY濃度は、1才未満NB症例は1才以上症例に比し、神経節腫は神経節芽腫、神経芽腫に比し、嶋田分類FH群はUH群に比し、マススクリーニング発見群は陰性後発症群に比し、早期群(I、II、IVS)は病期IV群に比し各々統計学的に有意に低値であった。血漿NPY濃度は他の腫瘍マーカー(尿中VMA、HVA、血漿NSE、LDH、ferritin)とは全く相関関係がなかった。血漿NPY濃度によって3群(Group1:<1,000pg/ml,Group2:1,000-3,000pg/ml,Group3:>3,000pg/ml)に分類し検討すると、Group1は他の2群よりも有意に生存率が良好でGroup1に死亡例はなかった。嶋田分類FHでもGroup1なら確実に予後良好であるが、Group2、3の場合は半数が予後不良であり、N-myc増幅群はほぼGroup2,3に属する事が判明し、従来の予後因子との組み合わせにより詳細に予後を予測する事が可能となった。尿中からは、40〜200pg/mlのNPY様免疫活性物質が検出された。セファデックスG50カラムを用いたゲルクロマトグラフィーによる分析では、標準NPYと同部位に小ピークが見られたが大部分のNPY様免疫活性物質は小分子領域に流出した。従って尿中NPYはNPYとともに、その分解産物がかなりの部分を占めるものと推察された。
|