研究概要 |
肝細胞分離の方法はコラゲナ-ゼ消化法が標準的な方法として広く普及しているものの安定した収量とviabilityを得るのは予想外に困難であった。当初Seglenの方法とほぼ同じ方法で行っていたが,さらに中村らの方法を取り入れたりしたが,今一つ安定せずそのまま先に進むことは却ってよくないと考えた。そこでまず若い動物例えばラットでは生後4週(160g前後)のものを用い,潅流法も従来の順行性から下大静脈からの送行性潅流に変更,コラゲナ-ゼ液も再循環方式から非再循環式にするため40%増量した。これらの工夫により分離直後のviabilityはそれまでの約50%から一挙に80ー90%へと向上した。ただし,これらの分離細胞は肝実貭細胞のほかKutter細胞など非実質細胞も相当量含んでいるためそれらの分離も必要である。それは次に述べるようにマイクロキャリアのコ-ティングに肝細胞に対してより特異性の高い接着因手を用いている方針であるからである。現在percollの濃度を変化させ至適濃度を検索中である。 これまでの研究の結果,予定したコラ-ゲンをコ-トしたマイクロキャリア,cytodex3は予想外に肝細胞の接着性が悪く,特に肝内脈内に投与された場合は殆んどの場合レシピエントの血球(非赤血球)を接着してしまうという救命的な問題がみられた。そこで肝細胞により特異的な接着因子あるいは抗体を利用することを考えた。その有望な接着物質の1つに東京工大生命工学研究室の赤池が開発合成したLPVAがありそれをマイクロキャリア上にコ-トすることを企画して現在協同で実験を進める予定である。 以上のような状況であるが,これらのメドが立てば予定の3.を開始したいと考えている。でキれば,マイクロキャリアとして,Cytodex3と新しいLPVAコ-トのマイクロキャリアを比較する形で内脈内直接投与法を行うつもりである。
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