1.免疫吸着剤PC-2については、(1)in vitroにおける吸着特異性と吸着能、(2)ex vivoにおける生体適合性の検討が終わり臨床治験の階段に入っている。 これまでに各種の自己免疫疾患を対象として免疫吸着療法を次のように施行した。 (1)慢性関節リウマチ(RA)(2)重症筋無力症(MG)(3)天疱蒼(PM)(4)ギランバレー症候群(GBS) (5)SLE以上の疾患13症例に対してのべ約70回の治療がおこなわれ、現在までに得られている知見は次のとおりである。(1)全治療経過中PC-2に起因すると考えられる副作用は起こっていない。(2)RAでは関節痛の軽快または消失、運動性の向上、PMでは発疹の軽快、GBSでは筋力の改善及び運動性の向上、SLEでは全身状態の改善及び関節痛の軽快がみられたが、MGについては臨床症状の改善がみられなかった。 2.新たな免疫吸着剤の開発について PC-2はリガンドを必要としない免疫吸着剤でありCH_6-Sepharoseという構造であるが、リガンドを必要としない免疫吸着剤は(1)CH_4-Sepharoseまたは(2)CH_8-Sepharoseによっても実現できる可能性がある。本研究はこの両者について吸着特異性と吸着能を検討し次の結論を得た。(1)IgGの吸着能(除去率)は約62%でPC-2を上回る(2)β_2-microの吸着能(除去率)は約96%でPC-2とほぼ同じである。この事実からリガンドを必要としない免新たな免疫吸着剤が開発できる可能性がある。
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