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1992 年度 研究成果報告書概要

脈管内皮を認識し、炎症、移植拒絶反応、癌転移の抑制作用を示す抗体の研究

研究課題

研究課題/領域番号 03670587
研究種目

一般研究(C)

配分区分補助金
研究分野 外科学一般
研究機関岡山大学

研究代表者

上川 康明  岡山大学, 医学部附属病院, 講師 (00152851)

研究分担者 猶本 良夫  岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (00237190)
井上 文之  岡山大学, 医学部附属病院, 助手 (90223271)
折田 薫三  岡山大学, 医学部, 教授 (20033053)
研究期間 (年度) 1991 – 1992
キーワードモノクローナル抗体 / 転移 / 癌
研究概要

今日までの腫瘍に対する研究は主に腫瘍細胞を中心に据えて行われてきた。しかし、癌治療を目的とした研究の多くは癌細胞の多様性のため多くの困難と遭遇している。癌の悪性度のもっとも重要な指標として転移がある。癌細胞は初発病巣から遊離して循環系に入り流血にのり到達した臓器で脈管内皮に接着しこれを通過し分裂を開始して転移が成立する。転移の成立に至る過程のうち一つを完全に抑制することができれば転移は形成されず癌は悪性度を失うと考えられる。
細胞-細胞癌の接着に関与する分子の存在は数多く知られるようになり、それらは遺伝子クローニングされることにより構造と機能が解明されつつある。われわれはヒト大腸癌由来細胞を抗原として用いて作成したモノクローナル抗体が手術時に摘出した人癌組織の染色では腫瘍細胞でなく、むしろ脈管内皮細胞表面の分子を認識していることを見出しこの抗体の転移抑制などの機能の解析を行い、以下の結果を得た。
転移性の低いLoVo細胞(ヒト大腸癌)を出発とし、ヌードマウスの脾臓内に移植し肝臓の転移巣より細胞を回収するstepを繰り返すことにより高転移株(LoVo-N3)を得た。この高転移株LoVo-N3細胞をBALB/cマウスに免疫することにより2種のモノクローナル抗体(MAbll-28およびMAb243-5)を得た。Western blottingにより、MAbll-28は高転移株(LoVo-N3、RPMI4788)の細胞表面に存在する約40kDaのバンドを認識し、低転移株(LoVo)とは反応しないことが分かった。MAb243-5は高転移株の細胞表面に存在する約50kDaのバンドを強く認識し、低転移株との反応性は弱かった。Mab243-5は、ヌードマウスにおけるLoVo-N3細胞の肝転移およびRPMI4788細胞の肺転移を完全に抑制した。また、MAbll-28はRPMI4788細胞の肺転移を完全に抑制した。MAbll-28、MAb243-5ともにIn vitroにおいてLoVo-N3およびRPMI4788細胞の増殖に対し影響を与えなかった。MAbll-28、MAb243-5ともにLoVo-N3およびRPMI4788細胞に対しADCCも補体依存性のcytotoxicityも示さなかった。MAbll-28、MAb243-5ともにMatrigel coatcd microplateおよびhuman endothelial cellに対するRPMI4788細胞の接着を抑制しなかった。これらから癌治療への応用の基礎的研究となる成果を得たと考えられる。

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公開日: 1999-03-16  

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