平成4年度は、以下のことを明らかにした。 (1)消化器がん(食道がん、胃がん、および大腸がん)においては、正常組織より腫瘍組織においてトポイソメラーゼIIの活性が高いが、トポイソメラーゼIの活性は必ずしも高くなかった。 (2)トポイソメラーゼIIの発現量と細胞周期のS期の割合との間に有意の相関関係を認めたが、トポイソメラーゼIの発現量との間には相関関係を認めなかった。 (3)HL-60(前骨髄性白血病細胞)、SH-101(胃がん細胞)、WiDr、Colo320DM、Colo201(大腸がん細胞)に対してトポイソメラーゼIの阻害剤であるSN-38が有効にapoptosisと関連していると言われているDNAのfragmentationを誘導した。 (4)WiDr、Colo320DM、Colo201(大腸がん細胞)に対してトポイソメラーゼIの阻害剤であるSN-38で細胞処理した後、トポイソメラーゼII阻害剤で細胞を処理すれば、より有効にDNAのfragmentationの誘導が可能であった。 (5)SN-38(トポイソメラーゼIの阻害剤)の細胞周期に及ぼす影響を検討したところS期の増加とDNAの断片化を認めた。
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