研究課題/領域番号 |
03670596
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
山上 裕機 和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (20191190)
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研究分担者 |
中井 健裕 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (70227726)
岩橋 誠 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (70244738)
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キーワード | 自己リンパ球混合培養反応 / 胃癌 / 自己反応性T細胞 / HLA-DR抗原 / AMLR-killer / 自己腫瘍細胞障害活性 / 免疫監視 |
研究概要 |
自己リンパ球混合培養反応(AMLR)はT細胞が自己non-T細胞を認識し増殖する反応であり、生体の自己認識機構を反映する。今回、癌患者の末梢血および脾臓におけるAMLRを検討した。胃癌患者におけるAMLRは末梢血、脾臓とも非担癌者に比較して抑制されており、この抑制はstageIでも明らかであった。胃癌患者non-T細胞表面のHLA-DR抗原の発現は低下しており、IFN-gammaによりその発現を増強するとAMLRが上昇したことにより、HLA-DR抗原の発現低下がAMLR抑制の原因の1つと考えられた。 T細胞を分画別に検討すると胃癌患者ではCD4+あるいはCD8+T細胞自身の増殖能も抑制されていた。AMLRにより樹立したCD4+CD45R-の自己反応性T細胞クローンを用いた検討では、その反応性自体も障害を受けていた。すなわち、これら種々の原因が関与しAMLRが抑制されることが明らかになった。 AMLRにより非特異的ばかりでなく自己腫瘍特異的抗腫瘍活性が誘導された。この抗腫瘍活性は非担癌者に比較して、胃癌患者で抑制されておりAMLR活性と相関する傾向にあった。自己腫瘍細胞障害活性を担うkiller細胞はCD4+であった。自己反応性T細胞クローンも自己PHA blastに特異的な抗腫瘍活性を示し、非自己PHD blastや非自己腫瘍細胞に対し抗腫瘍活性を示さないことから、自己反応性T細胞が自己特異的抗腫瘍effectorとなる可能性が示唆された。 胃癌患者においてAMLRが平均値より高い群と低い群に分け、治癒切除の施行できた症例の術後の予後を比較したところ有意に高値群で良好であった。 以上から、AMLRは癌の免疫監視機構において極めて重要な反応であり、AMLRで誘導される自己反応性T細胞自身が抗腫瘍免疫において直接あるいは間接的に作用する可能性が考えられた。
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