研究分担者 |
山崎 元貴 日本オートメイションKK開発部, 研究員
安田 雄一郎 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (80200509)
巻野 道雄 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (90178228)
三浦 金次 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (30173975)
氏家 久 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助手 (20168686)
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研究概要 |
形状記憶樹脂の性状を示す。まず最初に形状を記億させる。加熱するとゴム状に柔らかくなり形を変えることができ,冷却すると変形したまま固くなる。それをまた加熱すると記憶した形状に戻る。狭窄や瘤変化などの血管病変の治療手段としてこの形状記憶樹脂の器具を用いる可能性について検討した。加熱により記憶した形状に戻る物質として形状記憶合金があり,すでに血行再建への応用が少し発表されているが,組織為害性に問題が生じ,まだ臨床応用の段階に至ってはいない。 われわれは形状記憶樹脂の内でトリノルボルネンを選び器具を作成し実験を行った。形状回復温度の設定は34〜37゚である。メッシュ状の板を作り筒状の形を記憶させ巻いて細くした器具を作成した。 in vitroの実験では生体温度を想定しそれを38゚Cの水中に置き50゚Cのお湯を注入した。イヌにおけるin vivoの実験はそれをカテーテルの先に結び付けて動脈内に挿入してから45゚C前後の生食水を注入した。in Vitroではほぼ理論どうり形状を回復した。in vivoでは血管の屈曲,お湯の注入速度や量により動作に差が生じた。過去の実験で螺旋状のものは内腔の形に影響され形状復帰が不十分でないことが多かったが,板状のメッシュはうまく筒状に復元し血管内腔を確保して,血管拡張術後の再狭窄や瘤破裂の予防の役目をする働きを示した。ただしメッシュの厚さや目の粗さ,材料の抗血栓性についてはまだ検討の余地を残した。 本研究は末梢動脈から細い状態で挿入し中枢側の動脈内で形状を回復させ狭窄の予防や動脈瘤を内側から補強するこの形状記憶樹脂の器具が小さい侵襲で血管病変部を補修するための有意義な治療材料となる可能性を示した。 研究成果を第6回国際血管外科学会(ソウル)で発表した。また国際人工臓器学会雑誌Artificial Organsに投稿し掲載された。
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