研究概要 |
I.実験方法 1.細胞膜蛋白のSDS-PAGEによる検討:分散・凍結・培養の各操作が移植片,特に抗原蛋白を含むラ島細胞膜蛋白に,如何に影響するかをSDS/PAGEにて検討した.試料は各ラ島細胞をcell lysis buffer(0.5% NONIDET P-40,0.15M NaCl,0.05 M Tris,5mM EDTA)に入れ,攪拌を繰り返しながら一時間氷冷した後,15,000rpmにて遠沈,上清のみをNON-IDET P-40にて処理し作製した.また,各試料はDNA含有量の測定により蛋白量が一定になるように調整し,SDS-PAGEにかけCoomassie Brilliant Blue G-250(nacalai tesque,INC,KYOTO,JAPAN)で染色した.本検索では分散ラ島細胞の凍結ー解凍後の偽ラ島(FCIC),非分散培養ラ島(CI)のほか,比較検討の意味で分散ラ島細胞を一週間培養し形成された“pseudoislet"(以下PI),および分散直後のラ島細胞(以下IC)の細胞膜蛋白についても併せ検討した.2.FCICの同種異系移植:FCICの1,000個をFischer→Lewis間で行い、移植効果を検討した. II結果:1.SDS-PAGEによるラ島細胞膜蛋白の検討結果:ICでは細胞膜表面蛋白には明瞭なbandは認めなかった.しかし,PI,および凍結ー解凍等の操作が加えられたFCICでは小数のbandの出現を認めたが,対照のCIとはbandの数,およびその量ともに異なるpatternであった. 2.FCICの同種異系移植:同種異系移植での生着日数は,移植翌日から毎日の空腹時血糖値の検索で,血糖値200mg/dl以上の値となった日までとした.FCIC移植群の平均生着日数は12.5±5.0日であり,対照としたCI移植群の3.8±1.0日に比し有意な生着期間の延長が得られた.
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