研究概要 |
研究者は,平成3年9月に山梨医科大学第1外科より,東京大学第1外科へ移動したため,この移動を機会として新たな実験系を作成することとした.その第1の理由は,それまで使用して来たbalb C由来の腺癌であるcolon26があまりにもheterogeneityが強く,実験肝,肺転移作成時の転移個数のばらつきが余りにも大きいこと.第2の理由は,腫瘍免疫の実験では経験的にbalb CマウスよりもC57BL6マウスの方が適していることである.そこで,国内でC57BL6由来の腫瘍細胞を調査したところ,日本ゼリア中央研究所で作成されたC57BL6マウス由来のメチルコラントレイン誘発肉腫があった。そこで同研究所へ依頼したところ快く以下の腫瘍を譲り受けることができた.MCー1,MCー3,MCー4.早速in vivoでの腫瘍移植を試みるに,いずれの腫瘍細胞も東大動物実験施設に飼育されているC57BL6に生着することが確認された.しかしながら,多数代の継代のため成長した腫瘍には壊死部分が特にMCー1及びMCー3に特に強く認められた。またin vitroでRPMI1640+FCSを用いた培養では,MCー4のproliferationがやや悪いことが分かった.現在これらの細胞を用いて実験肝転移,肺転移の腫瘍細胞経静脈投与条件の決定の為の実験,及び裏面発表論文に即したモデル作成を行うべく準備中である.具体的には,東大輸血部より供与された,抗CDー3,CKー4,CKー8抗体を,また武田薬品から供与を受けたILー2を用いin vitroでのIVS細胞及び抗CDー3,ILー2刺激細胞の培養条件の確定をしつつある。
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