研究概要 |
手術的または内視鏡的に切除された大腸癌56症例、58検体を対象として、腫瘍周辺部より標本を採取した.また対照粘膜は腫瘍から10cm以上はなれた肉眼的に正常な部位から採取した10検体を用いた.一次抗体にKi-67マウスモノクローナル抗体を用いた免疫組織染色を行い、その染色の程度によりKi-67scoreを算出した.対照粘膜におけるKi-67scoreは腺窩の上、中、下部でそれぞれ1.31.2%,12.24.0%,28.96.6%であった.大腸癌におけるKi-67scoreは38.510.3%であり、対照粘膜の下3分の1の増殖帯と比べてもp<0.01で有意に高値を示した.臨床病理学的事項との関連では、壁深達度mのものに比べsm,pm,ss,s〜では有意に高値を示し、またModified Astler and Coller分類による臨床病期においてはAに比べてB,C,Dでは有意に高値を示した.またリンパ管侵襲陽性のものではこれが陰性のものに比べて有意に高値を示したが、リンパ節転移の有無との間には関連を認めなかった.以上の結果より大腸癌におけるKi-67scoreは癌の局所浸潤の程度を反映するものの転移の有無は反映しなかった.現在Ki-67scoreと術後の生存率との関連を観察中である.
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